シンと静まり返った公園に、ときたま上空をギャァギャァと飛び廻る怪物の声が聞こえる。一匹、俺達を攻撃するために飛来してきた怪物がいたが、雅の愛刀『鉄刃刀』で真っ二つにされた。そんな中、俺達は公園の木々や草むらで『手だけの怪物』を探した。
 30分くらいたっただろうか・・・。飛鳥と剣は、2人で仲良く草むらに首を突っ込んでいた。
「ホントに手だけの怪物なんていんのかなぁ〜。」
 剣は少し飽きてきてるようだ。
「まあ、良かたい。1000円札とか見つけたら儲けもんやろ。」
 飛鳥はまだ、なんとなく乗り気だ。ちょっと違う方向に・・・。雑談を繰り返しながら、だらだら捜査を続ける2人の前を何かが通り過ぎた。それは、円柱状の物から5本の足がはえ、地面を弾くように移動する。
「うわぁぁぁぁぁ。いた!!」



 2人は大声で叫んだ。今、目の前を移動したのは、まさしく『手だけの怪物』。2人の頭の中には20%も存在していなかったそれが、目の前30cmのところを器用に指を動かしながら歩いてる。
 勢い良く立ち上がり、飛鳥と剣は、全長25cm程の怪物を追いかけた。お魚くわえたドラ猫を裸足で追いかける国民的アニメのキャラクターのように・・・。
 しかし、これが意外と速い。遠目で見ると、大きな白い蜘蛛のような感じだ。俺を含めた、太郎と雅の3人は、そいつ等を目で追いながら個々に作戦を考えていた。
「飛鳥!!そいつは、どっち手ですか?!」
 太郎が大声で、白い大きな蜘蛛のような物体を追いかける飛鳥に問い掛けた。
「み・・・ひ、左手!!左手たい!!・・・だけん何?!」
 その言葉を聞いて、太郎は何かを確信した。
「よし。」
 太郎はそう呟くと、野球のピッチャーのような構えをする。しかし、振りかぶった手には何も握られてなく、しかも、サウスポーの構え。

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