そして、1時間程経って、すべての公開録画も無事終了した。
 控え室で着替えを済ませ、剣達のために広末響子さんからサインをもらい、フジテレビを後にする。



 弟子を連れた我等6名は、フジテレビ地下駐車場に用意されている送迎バスへと向かっていた。ざくろ達に帰ると言う事を伝えようとダイアルしようとした時、事件は起こった。
 かすかではあるが、フジテレビ地下駐車場のどこかで、若い女性の悲鳴のような声が、某の耳に伝わる。
「今、何か聞こえなかったか?」
 弟子達に聞いて見ると、
「かすかですが、悲鳴のような声が・・・。」
 と、答える。某は弟子達に先に帰っているように指示を出し、悲鳴が聞こえた方向へと駆け出した。
 駐車場内は広く、たくさんの車が止まっている。その中の一台の車に眼が止まる。それは、エンジンのかかった白のクラウン。運転席にひとりの男性が待機しており、車の近くには2人の男性と真ん中に一人の女性。2人の男性のひとりは、女性の口に布状の物をあてている。女性はもがいているように見え、その女性は先ほど、サインと握手をしてもらった広末響子さんだった。響子さんは、2人の男達に無理矢理車に押し込められ、そして車は凄い勢いで、駐車場を飛び出した。つまり、3人組の男達は、トップアイドルの広末響子さんを拉致し、連れ去ったと言う事になる。
…『アイドル拉致事件』。
 我々が何とかせねばなるまい!!

『テレビ番組出演』 終
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