FILE.07 愛犬ミルクを捜せ!
 放課後、帰宅途中、僕は近道という事もあって、学校と僕の家のちょうど中間にある日之出川公園を横切っていた。すると、小さな女の子を黒金高特殊部隊・我等がリーダーの元内ざくろが泣かしている。
 ・・・ように見えた。取り敢えず、僕はその現場に近付いてみる。
ワンワン泣きじゃくる女の子の前にしゃがみ込み、腕組みをして眉を顰めたざくろの表情は、『泣かしている』と言う言葉を使ってもおかしくない状態。



「ざくろ〜。何、女の子泣かしてんですか?」
 ざくろは、その体勢のまま僕の方を振り向き上目使いで、
「なんだ太郎か・・・。違〜うよ。泣かしてんじゃねぇよ。」
 絶対、小さい子だったら必ず泣くような顔をしながら、ざくろは僕に答えた。
「コイツがな。ひとりで泣いてるからさ。俺が、「何、泣いてんだよ。」って、聞いてたんだ。」
「泣いてた?ざくろが泣かしてたんじゃ無いって事ですか?」
「だから、言ってっじゃん。」
 僕とざくろの会話の最中も、女の子は泣いていた。子供をなだめる才能は、仲間内では飛鳥にかなう人物はいない。それと同時に、子供を泣かす才能は、ざくろが秀でている。何もしないで隣りにいるだけなのに、子供を泣かす事の出来るざくろがこの場にいるのは、誰もが誤解する。でも、本人曰く『人助け』をしようとしてるらしい。しかし、子供から嫌われ度NO.1のざくろだし、この場所に飛鳥はいないし、やっぱり僕がなんとかしないといけないんだろうなぁ。僕は、ボタボタ涙を流している眼に手を当て、ヒックヒック呼吸している女の子に、
「お嬢ちゃん、どうしたの?」
 と、聞いてみた。彼女は、くしゃくしゃになった顔を僕の方に向け、一瞬、間があいたかと思うと、
「太郎おにいしゃん!!」
 と、大声で叫び僕の足にしがみついてきた。その言葉を聞き、ざくろは不思議そうに僕の顔をみて、
「はぁ・・・? お前等、知り合い?・・・なに?なに?彼女?太郎ってロリ好きなの?」
 と、ばんばん飛んでも無い事を口走る。ムッとはしたけど、僕の名前を知っているこの子が誰だか気になるし僕は、もう一度少女の顔を確認し、そして思い出した。
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