FILE.09 100万点の美女やろもん!
「何か面白か事、無かと〜。」
 俺達5人は、その日、行着けの喫茶店に入っていた。その喫茶店の名前は『SATUKI』。マスター曰く、「『喫茶』を逆さ読みしただけだ。」と言う、俺達が通う黒金高のOBの人が経営する店だ。
 店は、学校から歩いて5分くらいの場所にあり、道路に面していて人の出入りも意外とある。ここで俺達は約一名を除き、コーヒー一杯で、1時間が粘っていた。



 道路に面した窓際の4人掛けのテーブルが、いつもの俺達の特等席。でも、俺達は5人。1人がどうしても補助椅子を使う事になるが、初めてこの店に入った日、その補助椅子君に選ばれたのは、剣だった。しかし剣は、「俺が『補欠』とは、何事だぁぁ」と言い出し、現在では剣の席は『テーブルの上』になっている。もう、1年くらい毎日のように俺達はこの店に足を運んでいるし、毎回きちんと金も払っている。だから、初めは、剣を怒鳴りつけていたマスターも、今では何も言わない。そんなアットホームな店。
「だけん・・・。暇かやん。何かせんと?」
 俺は、暇を持て余していて退屈だった。約一名を除き、みんなも暇そうな顔をしている。
「そうだ!! 俺、すっげー面白い事思いついた。」
 テーブルの上に座っている剣が、窓から外を見ながら発言した。
「そんなの、つまんねぇよ。」
 まだ、剣が何も言わないうちから、頭ごなしに否定するヤツがいる。退屈している4人を尻目に、一人だけ何だか『充実』してる奴。さっきから2度程文面に出て来た『約一名』。
 そいつの名は、ざくろ。喫茶SATUKIの『いちごの乗ったショートケーキ』に、テーブルの上に置いてあるコーヒー用の砂糖をまぶして、『オリジナルざくろスペシャル』と名付け、ふわふわのケーキをジャリジャリ言わせながら食っている。・・・しかも、3つ目。
「…で、面白い事って何ですか?」
 太郎が剣に問い掛けた。
「この店の、前の道路を横切る女の子にみんなで点数を付ける。って遊び。どう?」
 …く、くだらない。でも俺的にはそんな遊び、大好き。
「おぉぉぉ。面白かごたるやん!! やろう!! やろう!!」
 俺は、一番に飛びついてしまった。太郎も、「何もしないよりマシですね。」と、参加する。雅は、鼻で笑っていた。ぐだぁとしていた俺達の間に、ちきっと活気が漲ってきたって感じだ。
 ざくろは相変わらずジャリってる。
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