突然目の前に現れたガクラン青年の一瞬の出来事にヲタク達は、ざわめきたった。そして、俺も後に続き、2枚目の入り口付近は大混乱。
 1枚目の入り口。『笑顔が好き』が、大騒動になってるのを、遠くから見ている『EZライダー』の目の前にざくろが飛び降りた。
「誰だ!!貴様!!」
 目をカッと見開いて、リーダー格の小柄の男が、ざくろに怒鳴る。
「広末響子のボディーガードだ。」
 ざくろはニヤッと笑い、後はもう大変。一瞬で青痣と流血まみれになった小柄なリーダーが地面に転がった。『笑顔が好き』の奴等と戦っていた俺は、『EZライダー』の方でも始まった事に気付き、
「太郎、ちょっとゴメン。」
 と言って、ざくろのところへ向かい、こっちでも大騒動。そして、太郎のところへ行って、また大騒動。人気者は疲れるぜ〜。
 俺が行ったり来たり、している途中に、フと舞台の方を見ると、飛鳥と雅と響子ちゃん、3人で座り込んで何かしゃべってる。しかも、笑顔で…。くそぉぉ、ムカツクぜ〜。俺がこんなに忙しいのに…でも、その3人笑顔も、その後すぐに消える。ざくろが、ちょっと目を離した隙に『EZライダー』の兵隊が、舞台に向けて、ロケットランチャーを数発ブチ込んだ。
 次に『笑顔が好き』がいる付近もパッと明るくなり、光の帯が舞台の方向へ流れていった。あっちも何かブチ込んだようだ。8本の光の帯はまっすぐ3人に向かっている。
「飛鳥ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
 俺は大声で、舞台に座り込んでいる飛鳥を呼んだ。その言葉に振り向いた飛鳥は瞬時に状況を判断してたち上がり、ガクランの中から何かを取りだし、8個の光へ投げつけた。
 その飛鳥が投げたものは、発泡スチロールで出来た『飛行機』。先端に透明のプラスチックの錘がついている組みたて式のヤツ。側面にはウルトラマンが飛んでいるような絵が描いてある。そんなのを飛ばしたところでどうなるんだよぉぉぉ。
 ふわふわと優雅に飛ぶ8個の50円くらいのおもちゃの飛行機は、うまい具合に8個の光にたどり着き、空中で大爆発を起こした。 1つ…2つ…3つ…会場内で次々と、おもちゃの飛行機に触れたミサイルは爆発していき、爆風は会場の天井に大きな穴をあけていく。…でも、その派手な花火は7つで終了。飛鳥は一機だけ空振った。
 おもちゃの飛行機から逃れる事が出来た1つの光はまっすぐ舞台に向かっている。
「ヤバ!!しくった!!」
 飛鳥の声と同時に、雅の鉄刃刀がシャキッと鞘から抜かれた150cmの黒光りする雅の愛刀『岩豪丸』は、難を逃れた1つの光を凝視した。
「雅、切るな!! 爆発すっぞ!!」

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