飛鳥の言葉に、雅は答えず、岩豪丸を下段に構えた。3人を捕らえたミサイルは3m程の距離まで近づいている。
「きぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい。」
 雅の気合と共に、岩豪丸は大きく振り上げられる。ブオンと言う風を切る音は会場中に響き渡った。この音からすると、雅の刀はミサイルには触れていない。…とすると、ミサイルは??
 ミサイルは、雅の岩豪丸の風圧で上空高く吹き上げられ、次の瞬間、会場の天井に激突。大爆発を起こした。飛鳥と雅は降り注ぐ瓦礫から響子ちゃんを守り、なんとか難を逃れる事に成功した。
 そして、俺達の方もとりあえず、2組40名ほどをボコボコにして、物騒なものをすべて没収。地面に転がって「ウ〜ン。ウ〜ン」うなっている奴等を俺達5人は、眺めながら、
「こいつら、どうしようか?」
 と言っていると、ぐちゃぐちゃになった入口から、バシッとスーツを着た50歳くらいの白髪混じりの紳士が入ってきた。その紳士は、俺達の前で立ち止まり、
「この度は、笑子と空香の事で大変ご迷惑をかけた事をお許しいただきたい。」
 と、貫禄ありありでそう言った。
「ミスター、あんた誰?」
 ざくろが、紳士に問い掛けると、
「笑子と空香の所属事務所『モリプロ』の代表取締役 森 重信 と申します。」
 『モリプロ』の社長!! 確かに、深田笑子ちゃんも空香ちゃんも同じ『モリプロ』のタレントだけど、何でそこの社長が誤るの?
「度が過ぎたFANのこのような振る舞い、やはり我々事務所側の責任だと思います。今後このような事の無いよう、このFANの者達は、アメリカのユタ州にある『モリプロ』の強制収容所へ輸送し、そこで7年間、教育指導を行いたいと思います。」
 『モリプロ』って言ったら、業界では1、2位を争う大きなタレント事務所。アメリカのユタ州に収容所まで持っているって凄い。
 そして、なかば野外と化してしまった会場で、響子ちゃんは『主演女優賞』のトロフィーをもらい、俺達も任務完了ってなったのさ。

『本気で戦う5秒後』 終
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