そもそも、この太郎の第3の能力に名前を付けるとするならば『人体爆破』。
 太郎の、怒りと悲しみを押さえる力が限界を超えたときに体温が異常なまでに上昇する。そして上昇した体温は、爆音と供に体の外に放出され、半径100m内の総ての物が消し飛んでしまう。という能力。その後、当の本人は内傷外傷は無く、ただ、1週間ほど指一本動かせない状態が続く。某も2度程体験したが、200m程飛ばされた後、肋骨を3本折る怪我をおった。
 だから、早く何とかしなければ…。
「今回は太郎、どけんしたと?」
 飛鳥がざくろ達に聞く。
「どっかのバカ助達が仔犬いじめててさ。それを見た太郎が完全にブチ切れたって話。俺が来た時は血だらけの子犬をぼたぼた涙流しながら抱いてたぜ。」
 剣が経緯を説明すると、飛鳥が、
「そのバカ助達は、どげんなったと?」
 と、聞く。
「え?気付かなかった。あの辺に転がってただろ?10人ばかし…。」
「…ざくろ。太郎はあとどのくらいもつのだ?」
「もって20分。このままじゃ間に合わねぇな。」
たしかに我々が目指す山の麓まででも30分はかかる。早く安全な場所にたどり着く方法。太郎の怒りを静める方法…。何か方法はないのか?








『念力集中』 終
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