「なんか良く分からないけど、ヤバイらしいね。後何分?」
「10分ぐらいやと思うとばってんが…。」
助手席に座っている飛鳥が答える。
「I cannot understand What
you say.」
と、ぼたんさんは言った。そして、
「しっかり捕まってて、飛ばすよ。」
と、言うと「ポチッとな。」と、透明なカバーのついたボタンを押す。すると突然物凄い勢いで、車が走り出した。5秒ほどでメーターは140kを指し、周りの景色はどんどん後ろに遠ざかっていく。あまりのスピードに飛鳥は両手両足を車体にピッタリと付け踏ん張り、某も無気力の太郎が振り落とされないようにしっかりと押さえつけた。
「さすがね。…マー君。」
ぼたんさんが、笑顔を浮かべ呟くと、
「それほどでも。テヘッ。」
と、窓の外から声が帰ってくる。窓の外には車と同じ速度で走る剣の姿があった。
「俺、先の方偵察に行ってきます。じゃ、後ほど…。」
車にピタリと添って走る剣は、そう言うと車の前を走り、そしてどんどん車との距離が離れて行き、米粒みたいになり見えなくなった。
そして、車の陰も形も見えないくらい先を走る剣は、とんでもないものを発見する。それは、巡回中のパトカー。
「やっべー。こんな時にまったくもー。」
剣は、すかさずパトカーの前に踊り出て、パトカーのボンネットをバンバン叩き始めた。40kで走行中のパトカーのボンネットをバンバン叩く高校生に、ギョッとするのも束の間、巡回中の警察官は車の窓を開け、
「どうしたんだね君?」
と聞く、すると剣は、
「道路の真中で、くちゃんくちゃんになって倒れている人がいます。犯罪の臭いなんかしちゃったりしちゃうんですけど…。」
と言い、「案内しなさい。」と言ったパトカーを先導して路地裏に連れていった。
そして数秒後、パトカーが通っていた道を、140kのスピードで軽自動車が通過した。
「どこなんだね君。その『倒れている人』は?」
剣に路地裏を引っ張りまわされたパトカーは、パトカーの前を走る剣に話しかける。すると剣は、再び大通りにパトカーを先導し、
「あそこです。」
と指をさす。そこはまさしく『トミカ・ダンガン・ハイパーX』が、標準装備の『ロケットエンジン』ボタンを押した場所から2km程、山よりに進んだ場所、金髪のポニーテールの上半身裸の少年が、昆虫のように道の真中に倒れていた。警察官はすぐにパトカーから降り、少年に駆けより、抱き起こし、
「君!どうしたんだね?大丈夫かね?」
と、話しかける。すると、みんなに追いつくために全速力で走りつづけ息絶え々になった、まさしく『くちゃんくちゃん』のざくろは、
「み・・・水をくれ〜。砂糖いっぱい入った甘いやつ…。」
と、昆虫のような事を呟いた。
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