「院長…。この研究がDNA医学協会に認められれば、今後、我々は特許料で遊んで暮らせる。」
「しかし、協会に発表するためには、『モルモッター』として1人のサンプルを作らなければいけない。もし、この実験に失敗し、モルモッターを死亡させたとなると、我々は医学刑務所に30年は服役する事になる。これは物凄く危険な賭けなのだ。」
 それは、医師と院長の会話だった。近年、DNAの分子配列に人為的に手を加える事で、『DMAN』と言う、特殊能力者を誕生させる技術が開発され、医者達は新種のDMANの研究に没頭し、世界的に認められれば、莫大な特許料を手にする事が出来る。この病院の若い医師も自分の研究結果を発表したかった。
「僕は…変われる。」
 入り口で、聞き耳を立てていた太郎は、とっさにそう思い、医師達の前に現れた。








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