監督賞。脚本賞。ベストドレッサー賞。主演男優賞。助演男優賞。チョイ演男優賞とか、いろんな賞が発表されて、いよいよ『主演女優賞』のお時間がやってまいりました。我らが広末響子ちゃんの時間です。
「それでは、主演女優賞ノミネート者を読み上げますので、呼ばれた方は舞台へお上がりください。」
 岡田真澄さんの声が会場に響き渡って、電気が暗くなって、音楽が流れる。
 …話とはあんまし関係ないけど、「岡田真澄さん」って、100歳を裕に超えてるんだよ。でも、若々しくて元気。それって言うのも、岡田真澄さんは2005年に『食道がんの手術』と言って入院したが、実はDNAの手術をして、その時から歳をとらない『Dマン』になって話。だけど、外見はそのままでも中身までそのままって事は現在の技術では難しいらしくって、もうそろそろ死んじゃうんじゃないかって、この前、週刊誌に書いてあった。
「映画『機密』に出演なされた。広末響子さん!!」
 出席者が一斉に割れんばかりの拍手の中、響子ちゃんが舞台に上がる。
「続いて…。」
 と、岡田真澄さんが名前を読み上げ、呼ばれた女優さん達が拍手に包まれ舞台に上がる。さすがに選ばれるだけあって、凄いメンバーばっかり。深田笑子ちゃん、空香ちゃん。岩下志麻さんなどなど…。全員で7名のノミネート女優さん達が、舞台に勢ぞろいした。
「仕方が無かとやろけど、可哀想かね〜。ほかの女優さん達。」
 スタッフから差し入れられた弁当を頬張りながら、飛鳥がボソッとつぶやく。そうだよね。いくら盛り上げてスムーズに事を運ばせるとは言え、他の女優さん達は捨て駒。多分、響子ちゃん以外、この事は聞かされていないだろう…。
「それでは、グランプリの発表です!!」
 照明が消え、スポットライトが舞台をぐるぐる回り始めた。この前、この日本アカデミー賞の話を家のかーちゃんにしたら、このぐるぐるは、昔から変わらない演出らしい。
「映画『機密』に出演なされた・…………。」
 岡田真澄さんの元気な声が響き渡った瞬間、スポットライトは響子ちゃんを照らさず…消えた。
「広…ん?どうしたの?」
 真っ暗になった会場に、岡田真澄さんの声だけがスピーカーから聞こえてくる。会場はざわざわ始めた。
「出るぞ…。」
 ざくろが、つぶやく。次の瞬間、スピーカーにノイズが混じり、
「この式は、汚れに満ちている。」
 と、男の声が聞こえた。…?どこかで聞いた台詞。その時、隣にいた雅が、
「クラリス…クラリス…薬を飲まされているんだね。」
 と続け、俺達5人は大笑いした。ルパン三世の『カリオストロの城』の台詞。ヲタク語じゃん!!その寒ぶ過ぎるヲタク語を発したマイクの主が、今回の俺達の敵?? 俺達は笑い顔のまま、ため息をついた時。
 ばがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん
 物凄い轟音と供に、会場の大きな扉が吹き飛ぶ。その扉は俳優さん達が座ってるテーブルの近くにまで転がってきた。がっぽり穴の開いた入り口から昼間の光が差し込みその中に20人程の人の影が現れた。
「我々は、深田笑子FC全国普及特殊支援部隊『EZライダー』!!」
 一番先頭に立っている小柄な男が、大声でこう叫んだ。『全国普及特殊支援部隊』?なんだそりゃ?

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