叫び声ひとつあげず、雅はその場で方膝をつき、ギリギリと歯をきしませる音は、道場中に響き渡る。太刀を捨て駆け寄る父親を両手で跳ね除け、近付けさせないように鉄刃をかざすと、雅は自ら右眼の短刀を引き抜き、
「某は、光などいらぬ!真眼を持ち、親父殿を超える!!!!!!!!」
 そう言うと、真っ赤な短刀を自らの手で左目に押し込み、そのまま気絶した。
 板の間に倒れた顔面血だらけの息子を抱え上げた源一郎は、雅の体温が40℃を超えていることを知り、罪を洗い流すかのように涙しつづけた。









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