「人は皆…。声も、顔も、考え方だって違う。何の取り柄も無く、個性を出す事も許されない。日本って言うのは、ほんと住みにくい場所だぜ。」
 放課後、ざくろは1人で家路を歩いていた。一緒に帰る友達などはいない。
「みんな行ってるから、僕も『塾』に行くことにしたんだ。」
 小学校から仲が良かった友達も、この言葉を最後に、ざくろの前から消えた。ざくろは、いつも1人で帰り、いつも1人で遊んでいた。いつも…。

 これと言った予定も無く、公園に差し掛かったざくろの前に、灰色の学生服の男たちが立っていた。明かにざくろが通う中学の学生服とは異なる…。その男たちは、
「元町中の奴か…。こんなとこ歩いて良いと思ってんの?」
 男たちは、ざくろの肩を抱き公園の隅に歩いていった。




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